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2010年9月20日 (月)

X100の意義

X100

えーと、今年のドイツで行われるカメラの見本市「フォトキナ」の目玉のひとつと噂されているカメラがリークされました。富士フイルムのX-100ですけど、まあ、いわゆる高級コンパクトカメラデジタル版、ってやつですね。

こいつの売りはレトロ調でありながら、レンズにこだわったデザイン、そしてAPS-Cサイズのセンサーであるということ。
シグマのDP-2というコンパクトながら35㎜相当のレンズを持つスナップカメラが秘かに一部マニアには人気だけれど、ぼくも35㎜という辺りが好きなのでとーっても気になる。実は、このクラスの商品化は以前から話が出ていたのだけど、なかなか実現化しなかった。

というのも値段的に高価になり、しかも陳腐化の早いデジタルカメラにおいて、はたして商品化する意味があるかどうか昔は疑問視されていました。

富士フイルムは世界で初めてデジタルカメラを開発、発売したメーカーで、過去には瞬間最大シェア4割を奪ったこともありました。時代はデジタル一眼レフにシフトしつつあり富士フイルムもS1proを発売後、S2、S3、S5と続きましたが、これらの機種は元々アマチュアをターゲットにした機種とは趣が異なっていました。主に営業写真向けに考えられていたカメラで、学校、婚礼、スナップなどの業務向けに特化していたイメージがありました。S5pro以降はアマチュアにも注目され(というか、一般向けに考慮しなければ収益に無理があります)独自のポジションを誇っていたんですけどね。

話が長くなるので、以下は↓をお読みいただければ。。。

一眼レフはニコン、キヤノンの二強を軸にプロ向け機種が充実し、富士フイルムは独自のレンズマウントを持たないこともあり一眼レフの開発を断念。S5proの後継機は事実上「ない」ということに。(ここはきちんと昨年その筋から聞いていた)

そして時代はミラーレス一眼へと。オリンパス、パナソニックの提唱するマイクロフォーサーズ(以下M4/3)規格に賛同している富士フイルム(正しくはフォーサーズ)から「M4/3カメラが出る」という噂が駆け巡ったことがあるんだけど、その筋wに詰め寄って聞いた話では「ないよwどっから出たんだろうね」という返事。田中氏のツイッターでも、いろいろ噂が出ていたけど「フジとオリンパスね。その関係は今後もないだろう」という話で終わった。ハニカムEXRセンサーが「M4/3」へ供給されるんじゃないか、という噂も多いし、ユーザーの要望があるのは事実だけど、ぼく的には「なさそう」と思う。ハニカムEXRセンサーはコンパクトカメラのように極小のセンサーだからこそ必要な技術であり、M4/3やAPS-Cサイズならそれほど必要性がないんじゃないかと思う。もっともM4/3がそれ以上大きなセンサーを超えるような高感度特性、ダイナミックレンジが必要になれば可能性が出てくるかもしれないが、可能性は低い(その理由は後述)。

そして富士フイルムが一眼レフに乗り出さない理由がレンズ。M4/3に参入するにしても独自ブランドの「フジノン」レンズをひっ提げて搭載しなければ意味がない。フジノンレンズはブランド的に知名度が低いし、一般ユーザーにとってはアドバンテージを感じないだろう。パナソニックやソニーがドイツブランドのレンズを前面に打ち出す理由もそこにある。

フジノンレンズは知る人ぞ知る高性能レンズである。富士フイルムは早い時期から光学ガラスから自社で制作し、レンズ設計のために日本で最初のコンピュータまで作っている。大判カメラや中判カメラ用のレンズでは圧倒的な評価を得て、現在ではハッセルブラッドHシステムのレンズを供給しているほど。

だからこそプロ向けのデジタルカメラが望まれていたんだけど、中判用デジタルバックは発売開始後、すぐに生産をやめてしまう。また、観光写真、学校写真での記念撮影用の定番カメラGW690シリーズが生産を終えたことで「レンズ固定式でいいから、高画質なデジタルカメラが欲しい」というニーズもあった。そこで富士フイルムの電子映像事業部ではなく、プロフォト事業部からもデジタルカメラを出すという話もあったんだけど、実際には発売に至らなかった。

そういう背景を考えると、フジノンレンズをM4/3で作るというのには相当なコストを抑えなければアマチュア向けに販売などできない。フジノンで作ると絶対に手を抜かない高コスト高性能なレンズになってしまうからだ。オリンパスやパナソニックと被らずにレンズラインナップを作るということが事実上困難だ。ハイエンドM4/3というカテゴリがあれば別なのだが。

今回X100を出してきたのは、ある程度デジタルカメラ市場が熟成し、新たなカテゴリが作りやすい土壌が生まれてきたことが大きい。フジノンレンズを活かすレンズ固定式の高性能でしかも永く愛されそうなカメラライクなボディ。そしてフジノンが富士フイルム本体に吸収されたこともある。実はレンズ、プロ向けカメラなどを実際に制作担当していたのは「富士写真光機(のちの(株)フジノン)」というグループ会社であった。ファインピックスに供給するレンズも(すべてではない)フジノン製だったんだけど「性能に妥協しないので高いんだよねw」との声もあり、実際に一眼レフ用として作ったならばオリンパスでいう「SHG」クラスのレンズばかりになってしまう。が、一般ユーザーにブランド力で劣るフジノンでM4/3を戦える要素は少ない。

X100がAPS-Cの理由は単純にボケ味にこだわったところ、センサーが比較的安価でこなれているところ、だろう。1200万画素もあればじゅうぶんだ。M4/3センサーで出てくるとしたら、ユーザーに「次こそレンズ交換式か?」という妙な期待感を持たせても困るだろうし。

ただ、今後もM4/3マウントのカメラが出てこないとは云い切れないんじゃないかと思う。出ないかもしれないが、諸般の事情を解決することが可能なら面白いと思う。フジノンが富士フイルムの一事業部になったことを考えればゼロではないかも。

今、アマチュア用FinePixに位相差AFセンサーを組み込んだハニカムEXRセンサーを搭載した機種が出てきた。これこそ大型センサーに転換すればいいと思う。もっともハニカムセンサーを外販しない理由は処理エンジンとセンサーがセットでなければならないという点である。たとえEXRセンサーを利用するメーカーがあっても、画像処理エンジンは自社のものを搭載したいだろう。独自の配列によるセンサーを処理し、その特徴を活かすなら富士フイルムの処理エンジンも一緒でないとならないわけで、それならば富士フイルムが独自のボディを売った方が早いわけだ。したがって、センサーの外販も、レンズ交換式のボディもなかなか出せないという理由がここにある。

いずれにしてもX100は「写真機」を愛する人には非常に興味深い機種になるとは思うし、ぼくも富士フイルムにいたことを思えば「買ってあげたい」カメラの一つである。よくやったね、という意味を込めて。たくさん売れるカメラじゃないかもしれないが、こういうカメラを欲しかったという層は必ずいるはずだ。なので、ぜひ、画質をじっくり煮詰めて販売してほしいと思う。今の日本でライカX1に唯一対抗できるカメラを作れるのは富士フイルム、フジノン連合だと思っている。

富士フイルムがレンズ交換式一眼ボディを販売しない理由を検証してお話したけど、あくまでこれはぼくの見解であり、富士フイルムの見解ではないということを承知おき頂きたい。

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コメント

お久しぶりです。
X100の記事をみて、その足でありありさんのとこに来ました。
「フジノン」レンズのブランド力の話ですが、もったいないなぁというのが私見です。ブランドに育てていないもの。育つ下地はあるはずなんだけど。
ウチのブチョー(会社じゃないよ、写真部の・・・)なんか「一番解像度の高いのはフジノンのスクリューマウントだ!」と言い切ったりしてるから、琴線に触れるものは持っているはずなんだ。
ま、久々に、ドキドキするカメラになって欲しいなあ。

投稿: ぺるの~ | 2010年9月20日 (月) 23:12

本当に長くてびっくり(笑)
裏事情まで含めた解説ありがとうございます。
いいなあ、欲しい。

投稿: ai | 2010年9月21日 (火) 06:12

悩み多きカメラですね^^;
デザインは最高だと思います。
そして用途はまさに街撮り専用機!
換算画角35mmは理想ですが、欲をいえば50mmと28mmの2本でいいんで交換レンズがほしいです。
(これに長玉とかは付ける気しませんからw)
設計上難しくなるのは承知の上、RF機のようにブライトフレームが3パターンあれば良いかと。
問題はサイズがサブ機としては大きすぎるのでメインで使うとなるとバッティングするのがもろに銀塩MF機。
街撮りで本気モードはフイルムにしたい自分としてはデジはサブにしたい。
となると大きさはせいぜいMFT機が限界でGRDくらいの大きさが理想。
このカメラは作りこみやファインダー内のインフォメーション・ギミックは最高なので
銀塩機、特にRF機とバッティングするのが最大の悩みでしょうか?
お値段も100Kオーバーだと見送りますが、ゴーキュッパとかなら速攻でポチりますww

投稿: 本部長 | 2010年9月21日 (火) 20:14

前にも言った筈ですが、門外漢の自分にカメラの話は『異国語と云うより、異星語の羅列(笑)』なんだけど、読み進めてみると興味深いって言うか、説得力があって面白い!と思いました。

興味のナイ界隈のハナシを読ませ、納得させる辺り、関心します。

んが、しかし首を突っ込む事も、足を踏み入れる事もしない…なぜなら俺は真性『ミニカーの人』だから。

BBQに参加する為だけにホッカイドー行きたいなあ〜

『わもかででけへ〜』※津軽弁で『自分も参加させて下さい〜』

投稿: hurryblood | 2010年9月22日 (水) 00:32

>ぺるの~さん
ご無沙汰です~~来てくれるとすごくうれしいw
いやー、フジノン。どうにも上から目線なんですよねえ。
「知っている人はいいレンズって云うけどね」なんて感じで。
そうじゃないだろ~と。フィルムメーカーじゃなく総合写真メーカーなんだぞって。
何のために日本初のコンピュータまで作ってやってきたんだよお。
まあ、そういう隙だらけの人間臭い所も富士フイルムらしいのかww

>aiさん
こういうフィルムカメラやれってwクラッセはこのデザインだろう?と思うんです。
まあ、プロ部に根性がないだけですがww
安ければほしいんですけどねえ。

>本部長さん
まあ、確かにターゲットが難しいカメラです。
ぼくは基本、町は35が理想なのでこいつで撮ってもいいなあと思うんですが。。。
交換レンズは無理でしょうね。こいつの売れる台数も読めないし(爆
パノラマのTX-1が結局あんまり売れなかったこと、交換レンズが高すぎたのも戦略ミス。
いいもの作っても、内輪ウケばっかりなんですよw
まあ、ほんぶちょーはカメラ持ち過ぎなので迷いが生じるからここはこいつだけでw
GF670にワイドレンズが付いたの出るらしいです。そっちがまず欲しかったりw

>hurryさん
BBQはぜひ参加しましょう。なにせ「はまなす」に飛び乗ればいつだって札幌は身近な存在w
門外漢の人にも楽しんで頂くってのは嬉しいですね。くどい書き方なので事情が分かる人にはウザい解説なんだけど。

投稿: ariari | 2010年9月24日 (金) 23:58

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