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2008年12月22日 (月)

今だから話せるデジタルカメラのお話【5】

話はいよいよ一般向けデジタルカメラへ行きます。はっはっはー。

<一般向けデジタルカメラ元年>
1995年はDS-220やDS-505という業務用として充実したデジタルカメラが発売になった年ですが、カシオからも「QV-10」という一般向けのデジタルカメラがとうとう発売になりました。25万画素で液晶モニターを内蔵していたため、撮影した画像がすぐに見られるというデジタルカメラのメリットを最大に活かしたこのQV-10は大ヒットしました。画質はともかく(笑)63,000円でしたからね、今なら携帯電話に付いているカメラよりも酷かったのに、まあ、これを買った人はエラいです。
パソコンへ画像を入力してワープロなどに挿入する用途がいよいよこれで可能になったんですが、パソコンへ入力するケーブルやソフトが別売だったのです。しかもMacとWindowsは別々のソフトが必要で、それぞれ12,800円だったそうだ。ん、これはその後も他社でも同様だったんですけどね。ただしメモリーカード式ではなかったんで画像がいっぱいになったら消すしかなかったわけです。
そして1996年にいよいよ一般向けのデジタルカメラの決定版、富士フイルム「DS-7(Clip-it)」が発売になります。スマートメディアを初めて採用したデジタルカメラです。いやー、この時は驚きましたね。なんじゃ、コレ、切手みたいな大きさで2MB?ほー、すっげーなー、と。
富士フイルムが出したんだから、そりゃあ35万画素でも妥協しない絵でした。その画質評価は、PC-Watchに載っています。まあ、当時からいい色で写せたんですから、その後のFinePixへ受け継がれて当然ですね。

実は、このDS-7の発売の陰には私たちの悪戦苦闘がありました。色々なところから期待されていたDS-7、今まで数十万円もした業務用デジタルカメラと遜色ない画質だという評価が先行して流れたおかげで受注数も多く、あとは発売日を待つだけでした。実際、試作機を家電店やカメラ店、業務用途先へ説明に持参しても「すごいね、いいね」という声。
ところがある日、量産先行機が届いて、同僚がそれを持ってデモに行った時の事。会社に戻った彼が「あのさあ、これおかしいんだよ」...ん?どれどれ...
『何じゃ?』...
不具合が見つかりました。ううーん、どうなんだ、これ。このまま出荷してもいいのか?それとも、このカメラだけの問題か?ならいいのだが。しかし、どうしても気になる私。同僚と協議して上長へ報告。とりあえず、本部の技術担当課長へ電話すると「はぁー?何言ってんの。そんなことないでしょ」ハナっから信じない。まあ、技術関係のエラい人ってプライドが高くてたかが地方支社の人間のことなど聞く耳持たないんだな。そもそも、私がこの手のカメラ技術に詳しいなんて知らなかったみたいだから。
当時はまだ社内ネットワークもなかったし、メールもなかった。しかし、私たち電子映像を担当する人間と本部とは、Macintoshを使った「リモートアクセス」というネットワークがあったんです。これは一般の電話回線を使って他のMacとフォルダなどを共有するシステム。昔からMacはこういうネットワークが進んでいましたね。ただし、アナログ回線しかない時代、ISDNなんてまだ引かれていないもの。
それで、問題ありのDS-7の撮影画像を本部のフォルダへぶち込んだ。すると、技術担当課長から電話があって「これ、本当か?」...やっと気がついてくれました。そこで本部が一斉に全国へ指示したんです。「全品検査せよ」と。
はい、出荷直前、いよいよ発売が秒読みになった寸前、倉庫に同僚と二人で向かいすべてのDS-7をチェックしました。その数、数百台。問題なしの箱には◎印、まあ、問題ないでしょうが△、完全にダメなものはX印の付箋をつけて。出荷はまず◎印を。もし、足りなくなったら△。Xは本社へ返品しました。
おかげでDS-7は大ヒットしましたが、もし不具合をそのまま出荷してしまったら、かなりダメージが大きかったと思います。未然にそれを発見し、防いだ私たち札幌の部隊は本部から「ご苦労さん」と一言だけねぎらわれて終わりましたが(爆)。しかし、その後「札幌にはウルサい奴がいるんで気をつけろ」と言われるようになったのはその後のお話ですけど。

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コメント

今後はセンセイに対する言葉遣いに気をつけます。

投稿: hiros | 2008年12月22日 (月) 22:24

オイラも気を付けます
(笑

投稿: いしのまきまき♪ | 2008年12月22日 (月) 22:39

>hirosさん
こんばんは。何で(爆)??

>まきまき♪さん
こんばんは。うん、そうしたまへ(爆)。

投稿: ariari | 2008年12月22日 (月) 23:23

その会社(組織)が一番に掲げ、目指すものは果たして何なのか?

俺はaの言動や行動、プロだと思います。

プロとは?妥協を許さず、ユーザーの視点を考慮する人。

と、これだけ褒めておけば牛タンか何かを奢ってくれ…ないよね、やっぱ(笑)。

話はズレるんだけど、バモスのライトの線の太さに吃驚したことがあってね。

マブチモーターのリード線と同じ細さだったの。

ユーザーをバカにしてるなぁ…って、悲しくなった経験があるだよ。

投稿: hurryblood | 2008年12月23日 (火) 01:04

プロフェッショナルとは・・・・。去年くらいに弊社のTopが盛んに口にされていましたが・・・ハイ。
訓示を拝聴しながら「ん?ドラッガー氏の定義とはちょいと違うなぁ」と違和感を感じておりましたです。

どうしても組織は大きくなると、中央にエラいヒトが集まってしまうので、ありありさんのいうような地方とか、工場とかを重く見なくなってしまうんですよねぇ。ったく。。。

DS-7は良かったです。電池の持ちが悪いのと、レリーズ後の処理速度が異常に遅かったけど。
某N社関係の知人が「pentium上で動かせば速くて良いソフトだよ」と言ってましたが、やっぱR-Emg解析してたんでしょうね。

投稿: ぺるの~ | 2008年12月23日 (火) 17:15

>hurryさん
こんばんは。私が会社員だった頃のポリシーです。
「上司を怒らせても、客は怒らせない」
これがすべて。

>ぺるの〜さん
こんばんは。まあ、組織なんてきっとどこでも同じようなもんですよね。
政治の世界も同じですけど(笑)。
DS-7はすぐにDS-8になって画質もずいぶんよくなりました。
あの頃、というか今でもですがR-Emgは当たり前で、他社から「マネが出来ない」とお褒めを頂いた事もありました(爆)。

投稿: ariari | 2008年12月23日 (火) 22:21

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